2022/04/02
医学科

本学医学科第6学年の鈴木菫さん、小川雅人さんが、膵がん細胞のリソソームを標的とする新規治療法に関する英文原著論文を発表し、学長賞を受賞

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賞状を手にする鈴木さん、小川さんと研究の指導にあたった生化学分野 平本教授

 2022年3月16日に開催された医学科教授会において、林 由起子学長より医学科第6学年 鈴木 菫さん、小川雅人さんに「学長賞(※1)」が授与されました。本賞は、お二人が医学科在学中に基礎研究に取り組み、英文原著論文として発表したことを讃え、今後一層の活躍を期待するものです。

 鈴木さん、小川さんは第4学年でのグループ別自主研究(※2)をきっかけに、その後も継続的?断続的に生化学分野において研究を推し進め、188bet体育_188bet亚洲体育-在线*投注医学会総会および日本癌学会学術集会において学会発表も行いました。第5学年?第6学年でも、コロナ禍における臨床実習の合間を縫って、データ整理と論文執筆にも取り組み、その成果を原著論文「Lysosome?targeted drug combination induces multiple organelle dysfunctions and non?canonical death in pancreatic cancer cells. Oncology Reports 47(2):40, 2022. doi: 10.3892/or.2021.8251.」(鈴木&小川:共同筆頭著者)としてまとめ上げました。

 本論文では、多発性硬化症治療薬Fingolimodとチロシンキナーゼ阻害薬Lapatinibとの併用が、膵がん細胞株に対して効果的に細胞死を誘導すること、また、2剤の併用がリソソーム膜の透過性亢進を介して、複数の細胞小器官に機能障害を誘発することを明らかにしました。さらに、リソソームを標的とする他の臨床薬の併用でも、同様の効果が発揮されることが示され、ドラッグリポジショニングの観点から、臨床応用への発展にも期待が持たれます。本研究は、彼らの先輩である太田行紀さん(令和2年卒)、 大熊 尭さん(令和元年卒)らが行った研究(Oncology Reports 42(1):231-242, 2019)に端を発し、鈴木さん、小川さんの努力により大きく発展を遂げました。

 この3月、お二人は医師となり188bet体育_188bet亚洲体育-在线*投注を巣立ちましたが、今後の臨床現場においても、基礎研究で培った思考力が活きてくると信じています。これからの医療、医学を担う若き二人の前途を、心より祝したいと思います。(生化学分野 教授 平本正樹)

■受賞論文はこちら>>

学長賞受賞コメント

 この度は学長賞を賜り、大変光栄に思っております。私たちが初めて研究に携わったのは第4学年のときで、細胞の培養すらも手取り足取り教えていただかないとできないような状態からのスタートでした。そんな私たちに考え方から丁寧に教えてくださった生化学教室の先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。この貴重な経験を活かして医師として活躍することができるよう努めてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

(医学科第6学年 鈴木 菫)



 この度は学長賞を賜り、大変嬉しく光栄に思います。私と鈴木さんは第4学年の自主研究から生化学教室で実験を開始し、その後も長期休暇等に継続して研究を行いました。このような貴重な経験ができたのは、日々時間を割いてご指導していただきました平本先生、宮澤先生、教室の先生方のお力添えあってのことと、心より感謝申し上げます。私たちは4月から研修医となりますが、今後も研究室で学んだことを活かし精進して参ります。

(医学科第6年 小川 雅人)


※1:学長賞:本学では、医学部学生が在学中に筆頭著者と して英文原著論文を発表?アクセプトされた場合、または優秀な業績?研究成果を発 表した場合に授与されるもので、学長賞として表彰、賞状および副賞が授与されます。

※2:本学の学生の研究活動支援:本学医学科では、入学時に研究室の紹介がなされ、希望する学生は研究室にて指導教官のもとで研究をすることができます。カリキュラムとしても、基礎医学の講義? 実習と臨床医学が終了した第4学年で、「グループ別自主研究」のコースで、希望する研究テーマを選び、約3週間基礎医学の研究室に所属し、研究者の考え方や方法論などを体験し、研究マインドを育んでいます。

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