2023年6月25日、本学救急?災害医学分野 奥村滋邦 助教が第55回 日本結合組織学会学術大会で「Young Investigator Award (YIA)」を受賞されました。奥村助教は、本学の社会人大学院生でもあり、研究指導委託という形で細胞生理学分野でも研究しており、同学術大会に参加する運びとなりました。
この賞は、日本結合組織学会学術大会において発表された研究の中で独創的な研究の奨励と若手研究者の育成を目的としたもので、優れた演題として奥村助教が表彰されました。
【受賞演題】
Fibulin-1-ECM1 複合体の血管傷害後の内膜肥厚における役割
【受賞理由】
心筋梗塞の治療後合併症にはステント周囲に内膜肥厚ができるステント内狭窄があります。しかし、未だに内膜肥厚のメカニズムは完全に解明されていません。我々は遺伝子改変マウスを使用することによりプロスタグランジンE2 (PGE2)受容体であるEP4が内膜肥厚部位で発現が増加し、血管平滑筋細胞の増殖を介して内膜肥厚を増悪させることを見出しました。また細胞外マトリックスFibulin-1はPGE2-EP4シグナルにより増加し、EP4による内膜肥厚において主要な役割を果たすことが明らかとなりました。
■受賞者コメント(救急?災害医学分野 奥村滋邦 助教)
今回、日本結合組織学会学術大会という歴史ある学術大会においてYIAを頂きましたこと大変光栄に思います。救急集中治療の臨床現場では重症患者さんを見ることが多く、治療法が確立していない病態も多くある事がわかりました。そのため生理学的な視点で病態を解明し治療に繋げる必要があると考え、細胞生理学分野で勉強させていただくようになりました。
ステント内狭窄は心筋梗塞の治療後合併症でしばしば問題となりますが、未だに詳細なメカニズムは解明されていません。今回発見されたこれらの分子は心血管分野ではあまり注目されていなかった分子であり、今後の医療に貢献できるよう研究に励んでいきます。