2024年11月30日、本学医学総合研究所 未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門の落谷孝広特任教授が、公益財団法人 SGH財団より、令和6年度「SGH特別賞」を受賞されました。
この賞は、がんの研究者及び医療従事者の励みとなることを目的として、がんの基礎、臨床研究に顕著な功績を挙げ、かつ今後の発展が期待される方を対象に表彰が行われるものです。本賞は、平成15年度に佐川特別研究助成賞として増設され、平成23年度から名称が変更され、褒賞として贈呈されています。法人名称変更に伴い、第14回(平成28年度)から現在の「SGH特別賞」に名称が変更されています。
今回、落谷特任教授の「細胞外小胞であるエクソソームによるがんの転移メカニズムの解明と診断治療への応用」が評価され、受賞となりました。落谷特任教授は、細胞外小胞であるエクソソーム研究の世界的第一人者であり、特にがんに転移の際に働くエクソソームのマイクロRNAの解明に従事してきました。その研究成果はがんのリキッドバイオプシーによる早期診断法の実用化を始め、体内の様々なステム細胞のエクソソームによる疾患治療の分野にまで広がり、世界のエクソソーム研究を牽引しています。最近では植物エクソソームの研究も開始するなど、今後もその研究成果に大きな期待が寄せられています。また落谷特任教授は、エクソソームの国際学会であるISEVの理事や、日本細胞外小胞学会であるJSEVの理事長も務めるなど、国内外で大きく貢献しています。
■受賞者コメント
(医学総合研究所 未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門 落谷孝広特任教授)
この度の素晴らしい賞は、エクソソームという新しい研究領域を開拓している私を始め、国内の多くの若い研究チームの全員に、強いエールをいただけたものと受け止めております。細胞外小胞であるエクソソームは、まだ研究の歴史が浅く、解決しなければならない技術的な課題がたくさん残されておりますが、医学生物学の分野でも大変魅力的な研究対象であり、世界はエクソソームの医療応用のステージに入ってきております。我々は、エクソソームが基礎生物学だけでなく、健康のトータルケアといった領域を超えた分野にも将来発展するものと信じて、今後も着実に研究を進めてまいりたいと思います。