2025/01/31
医学科 研究活動

本学医学科第6学年 吉村詩緒莉さんが雌性生殖腺系の発生研究に関する英文原著論文を筆頭著者として発表し、学長賞を受賞

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学長賞を授与された吉村詩緒莉さん

 2025年1月15日に開催された医学科教授会において、宮澤啓介学長より医学科6学年吉村詩緒莉さんに「学長賞」が授与されました。

 これは、吉村さんが雌性生殖腺系の発生研究に関する英文原著論文を筆頭著者として発表したことを表彰するもので、発表論文は「Mesonephric tubules expressing estrogen and androgen receptors remain in the rete ovarii of adult mice」というタイトルで、国際誌「Cell and Tissue Research」に掲載されました(掲載論文はこちら)。

 なお、吉村さんは、第4?5学年で、自由な学び系科目の「リサーチ?コース」を履修しています。



教室主任コメント(人体構造学分野 伊藤正裕 主任教授)


 吉村さんの「雌性生殖腺系の発生研究」は、5年前より始まり、本学の医学会総会、日本生殖免疫学会、日本解剖学会での発表を経て少しずつ追加実験や論文化が行われ、今年1月、遂に国際誌に掲載されました。振り返れば、COVID-19による緊急事態宣言が2020年春に発出された当時、2年生になったばかりの吉村さんの学年は、解剖実習をはじめ対面授業が全く行われず、クラブ活動も停止され、ほぼ自宅学修のかたちとなりました。そのような環境下で、形態学に興味を抱いていた吉村さんは、現在のような自由な学び系科目の中のリサーチ?コースが立ち上がる以前より、本教室に通うようになり、第2学年希望者対象の「コロナ禍解剖実習」に参加するとともに本分野の「実験生殖医学」にも着手し始めました。逆説的になりますが、日中の対面授業が無くなったことで多くの時間を研究に注ぐことができたと思います。本研究は、発生学の深淵に触れるもので、臨床医学に直結するものではありませんが、医学科生時代に自身の研究を論文にまで仕上げたこの経験は吉村さんが今後どのような臨床の道に進もうとも活きてくるものと思います。今後のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

受賞者コメント(医学科第6学年 吉村詩緒莉さん


 この度は学長賞という栄誉ある賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。賞を下さりました宮澤学長には、心より御礼申し上げます。

 私は2年次より人体構造学分野にお世話になり、肉眼解剖や組織学的な研究に取り組んでまいりました。今回の論文は、胎生期と思春期における卵巣およびその付属管の形態変化を解明する研究でした。卵巣の組織を3次元再構築し、ミクロとマクロ、2Dと3Dを行き来しながら観察することで、形態そのものの美しさや、器官形成のダイナミックさを改めて実感しました。そして、なぜその形になるのかに考えを巡らせながら、意欲的に研究を進めることができました。

 主任教授の伊藤先生と指導教員の表原先生には、論文という形になるまでご指導いただき、研究の醍醐味を教わりました。また、人体構造学分野の先生方、スタッフの皆様にも多大なるご支援を賜りました。この場を借りて深く感謝申し上げます。


【本学の学生の研究活動支援の取り組み】

  • 学長賞:医学部学生が在学中に筆頭著者として英文原著論文を発表?アクセプトされた場合、または優秀な業績?研究成果を発表した場合に授与されるものです。
  • 学生の研究活動支援:本学医学科では、希望する学生は研究室にて指導教員のもとで研究をすることができます。カリキュラムとしても、基礎医学の講義? 実習と臨床医学が終了した第4学年で、「グループ別自主研究」のコースで、希望する研究テーマを選び、約3週間基礎医学の研究室に所属し、研究者の考え方や方法論などを体験し、研究マインドを育んでいます。また2022年4月からは自由科目として「リサーチ? コース」が導入され(2023年度に自由な学び系科目に改称)、さらに学生の主体的な学びを後押しする体制になっています。


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